金利・景気動向からの株式投資家の経験則

ではなぜ、金利が上がるというコメントに株式市場が反応したのでしょうか?
それは、「金利を上げる」ということは「景気が過熱に近づいている」という
意味と捉えてしまったからです。そのため、金利引き上げにより「米景気減速
→米企業収益伸び鈍化→世界景気失速」という流れを引き起こすと投資家は考
えてしまっているのです。

しかも、アメリカのニューヨーク・ダウなどの市場平均は、金利が下がる局面
で上昇し、金利が上がる局面では下落しているケースが見受けられます。こう
したことを経験則として持っている外国人投資家は、バーナンキ議長の発言を
受け「株が下がる」と思い、株の売却に動いています。

日本では3月に量的緩和が解除され、いつゼロ金利が引き上げられるかに注目
が集まっていました。日本でも金利がこれから上がっていく可能性が出てきて
いたタイミングです。そのため、ライブドアや多くの不祥事があっても踏みと
どまっていた日本株も、金利が上がりそうだという理由で売られてしまったの
です。

一方で、足元では、2006年6月に利上げ継続が確実なものとの見方が強まった
ため、株価は大きく反発、小康状態を保っています。これほどまでに市場では
金利の動向が株価を大きく動かしているのです。

金利動向による株式市場の見方

金利の株式市場にもたらす影響は近年、外国人投資家が台頭してきた現在の日本株式市場では、幅広くなっているといってよいでしょう。

というのも、日本の金利政策ばかりでなくFRBによる米国金利政策からも日本の株式市場へも波及してくるからといえるのではないでしょうか。

FRBとは、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略であり、日本でいえば日本銀行と同じ業務を行っています。なかでも重要な業務が、景気動向にあわせて金利の上げ下げを決定することです。

以前の出来事ではFRBバーナンキ議長による「金利を上げる」とも捉えられる発言に株式市場は敏感に反応、早期の利上げ休止を織り込みつつあった市場を大きく揺らし、株価下落につながったということがあったことでも金利動向による株式市場への影響は大きいととるべきでしょう。

こういったニュースにも普段から視野を広げ観察していく姿勢も必要なのではないでしょうか。