「良いIPO株」を見分ける3つのポイント

IPOは上場前に当選すれば、リターンを得られる可能性が高いことは、理論
的に考えても分かります。しかし、中にはIPOだったら何でもよいといわん
ばかりに、申し込みをしている人もいると聞きます。

しかし、02年に新興企業向け3市場に上場した100社を対象に調べたところ、
67社の株価が公募・売り出し価格を下回っていました。映像制作大手の東北新
社(2329、公募価格に対する初値の騰落率-37%)など、名の知れた銘柄もそ
の中に含まれています。

もちろん、魅力的な会社があるのも事実。たとえば、世界のソニー(6758)で
あっても昔は新規公開企業だったわけです。現在IPOした会社のなかから、
ソニーのように大きく成長を遂げる会社が現れるかもしれません。

では、「良いIPO株」とはどのようなもなのでしょう。私は以下の3点に注
目しています。

1)資金調達額が少ない
そもそもIPOは、自社の株式を株式市場において売買可能にすることで、事
業運営または事業拡大のための資金を調達することがメインの目的と言えるで
しょう。この資金調達額が少ない会社は、株式市場に出回る株が少ないという
ことです。希少価値があるため、株価も上昇しやすいのです。

株価は人気投票といわれることがあると耳にしたことがおありだと思います。
買いたいにもかかわらず、実際に買うことができる株数が少ないと、人気が吊
り上がっていきます。そのため、資金調達額が少ないと株価は人気化し、株価
が上昇するケースが多いのです。

2)ロックアップが設定されている
ロックアップとは、公開前に大株主らインサイダーが一定期間、市場で株を売
却しないと契約することです。これは、公開直後に高値がついた時点で、大株
主が利益確定のため大量に売却し、極端な値動きをすることを防ぐ目的の制度
です。ロックアップが設定されていれば、売り圧力、つまり値下がりの懸念は
減ります。

3)ベンチャーキャピタルの保有割合が低い
ベンチャーキャピタルとは、投資家から募った資金で未上場企業の株式を取得
し、その企業が上場した際のキャピタルゲインを得ることを目的とした企業で
す。彼らの仕事は、上場後に高値で売り抜けることです。ですので、ベンチャー
キャピタルの保有割合が高い銘柄は、上場後すぐに大量の売りが出る傾向があ
ります。
上記2)のロックアップが設定されている場合は、上場直後の売り圧力は弱ま
りますが、最終的には株を売却し収益を上げるので、将来の売り圧力であるこ
とには変わりありません。

当然ですが、上記3つに加えて、その会社の事業内容などを詳しく調べること
が必要なのはいうまでもありません。これはIPOに限らず、投資をする上で
は必須です。

IPOは確かに儲かる可能性が高いといえます。しかし「絶対」ではありませ
ん。そのことを肝に銘じ、しっかりと銘柄を見極めましょう。